端末の読み上げとクラウド音声、何が違ってどう選ぶか
本のテキストを音声にする方法は2つあって、得意なことはほぼ正反対です。片方は、スマホにもともと入っているチップで動く。もう片方は、桁違いに強力なサーバーで動く。多くのアプリはどちらか一方だけを選び、その選択肢を隠したまま妥協をこちらに押しつけます。ただ、どちらが合うかは本によって違うので、両方の仕組みを知っておく価値があります。
なぜ音質が違うのか
差の根本は、どれだけ大きなモデルを動かせるか、どれだけ時間をかけられるか、この2点に尽きます。
端末の内蔵音声は、スマホに収まって、聴くのに合わせてリアルタイムで話す必要があります。その制約は年々ゆるくなっていて、いまどきのシステム音声はずいぶんよくなりましたが、それでも限りはある。モデルはバッテリーで動く程度に軽くて、音声をその場で生成するので、先の文脈を見越してリズムや強調を調整できる範囲が限られます。結果は聞き取りやすい音ですが、文と文のつなぎ目がかすかにわかったり、ときどき抑揚の平らな一行が混じったりします。
クラウドの読み上げには、そのどちらの制約もありません。GPUの上でずっと大きな音声モデルを動かし、聴くその場ではなく前もって本全体を書き出します。だから文や段落をまたいで抑揚を整えられる。作り込まれたクラウド音声がなめらかで読みの意図が伝わる仕上がりになるのはそのためで、端末の音声はどうしても一歩手前にとどまりがちです。代償は2つ、書き出しに計算コストがかかること(タダではない)と、聴く前に準備が必要なこと、つまりすぐには始まらないことです。
それぞれが本当に得意なこと
端末の内蔵音声は、地味に頼りになる存在です。
- すぐに始まる。 書き出しも待機もなし。本を開けばそのまま再生。
- 無料。 時間あたりの課金も、クレジットも、上限もありません。
- オフラインでも動く。 本がいったん端末に入れば、電波がなくても、飛行機でも地下でも再生できます。
- テキストが外に出ない。 読み上げのためにテキストがスマホの外へ出る必要はありません。
弱点はひとつ、仕上がりの磨きです。iOSなら、プレミアムのシステム音声をダウンロードすることでその差の多くを埋められます。標準の音声より目に見えてよくなります。ダウンロード方法の短いガイドがあります。
スタジオのクラウド音声は、逆のバランスです。
- 音が豊か。 作り込まれ、なめらかで、本物の録音に近い。
- 多言語でも品質を保つ。 BookNPCのスタジオ音声は10言語に対応していて、どれもしっかり書き出します。
- 一度書き出せば、ずっと手元に。 できてしまえば、ほかのどんなファイルとも同じように無料でオフラインで再生できます。
代償は2つ。用意に少し時間がかかることと、本ごとに少額かかること。BookNPCでは仕上がり音声1時間あたり25セント、秒単位の計算なので、40分の本ならおよそ17セントです。
本ごとにどう選ぶか
一生片方に決める必要はありません。BookNPCなら、一冊の本を端末とクラウドのあいだで、章の途中でもいつでも切り替えられます。シンプルな目安があれば、余分な出費なしに、肝心な本で一番いい音が手に入ります。
- まずは何でも端末から始める。 無料でその場で始まるので、始めない理由がありません。ほとんどの場面、とくに内容目当ての実用書なら、これで十分です。
- 好きな本にはスタジオを使う。 最高の音であるべき本、じっくり味わっている小説や何度も聴き返す一冊なら、数セント払う価値があります。一度払えばあとはずっと手元に残ります。
- 外国語の本はクラウドで。 対応する10言語のどれかで作り込んだ音がほしければ、クラウドが答えです。端末は、たまたまスマホに入っている音声でしか再生できないので。
避けたい間違いは、反射的にどの本もクラウドで書き出すことです。聴くもののほとんどは端末で無料にできます。有料の書き出しは、余分な磨きが元を取る作品のために取っておきましょう。
両方を一つのアプリに持つ意味
片方しかないアプリは、ずっと何かをあきらめさせます。端末専用の読み上げは、作り込んだ音にはなりません。クラウド専用のものは、飛行機では役に立たず、無料で十分楽しめたはずの本にまで課金します。両方あれば、飛行機は無料の端末音声でまかない、お気に入りの小説はやはり作り込んだ音で聴ける。どちらに払う価値があるかを、一冊ずつ自分で決められます。
正確な料金は料金ページに載っています。要点はシンプルです。端末の音声が無料の初期設定で、クラウドが有料のアップグレード、切り替えはいつでも自分で決められます。